プロダクトデザイナーのご夫妻のこだわりが生かされた家です。
現在はご夫婦住まいですが、将来的には3人住まいになることも想定して設計しました。
出会いは本から
狭小住宅の本を見て当事務所を知り、「大阪の中心部に近いところに住みたい」というご希望があり、大阪屈指の上町台地を中心に土地探しから始まった計画です。
どっちの土地にしよう?
候補としては、三角形の土地と、細長い土地がありました。
奥側に落ち着きあるスペースができることから、奥行きのある細長い土地のほうで計画が進みました。
どんな空間にしたい?
共働きであるご夫婦。平日はコンパクトな動線として、
休日は非日常的な空間で過ごしたいという要望を反映した空間構成となっています。
さて、どんな空間でしょう?
敷地の形状を利用して、奥に寝室や個室、キッチン、水周りなどを縦4層に振り分けました。
平日の動線をコンパクトに配置し、対して休日はリビングを中心にプランニング。
リビングは6mにもなる天井の高さとし、階段スペースを間に入れることで、広がりと開放感を出し、敷地の幅の狭さを感じさせないようにしました。
建物の後方にも、中庭を設けることで通風と採光を確保し、敷地全体を生かした高さと奥行きの連続感があるのです。
この家の特徴は?
まず、印象的なのは、正面南側の大きな窓です。外の街並みを遮断するのではなく、外部との関わりが密に感じられる狭小住宅になっています。
そこにある風景や自然をよしとし、家の前を通り過ぎる人々も町の風景の一部であり、雨、風、朝、昼、夜等で内部の様子が変化することを楽しむ空間となっています。
非日常的な感じがするのはなぜ?
非日常的な面白い空間にしたい、というのがご夫婦のご要望。
左右に黒い壁と白い壁を配し、黒い壁と分離させるように床、屋根にスリットを造りました。
内部吹き抜けの上に天窓、また外部吹き抜けにより、あえて内外の境界を崩しています。
施主さんの感想は?
1年後に行ったアンケートから一部紹介しますね。
一年過ごされて良かった点は?
空間が気持ち良い。
南面の窓が大きいので、空がよく見えて気持ちがよい。
ロールブラインドを上下左右4つにしたのは大正解です!
季節や時間帯によって変化する、光や陰の表情が、見ていて飽きない。照明による夜の雰囲気も、昼間と違った魅力があり良い。
階段が多少危険な感じでしたが一年過ごされての感想は?
私たち二人は全然問題なかったのですが、小さな子供や、親が来た時には危険だと思いました。
もう少し柱があっても良かったかもし れません、、、
全体が吹き抜けに拠る事での室内温度等の環境はどうでしたか?
確かに冷暖房効率は良くないと思いますが、それほど問題とは感じていません。
料理した後、匂いが家全体に広がる事も同様です。
それと引き換えに得られた(狭いながらも)大きな空間の魅力の方が大きいです。
細長いこの空間の感想は?
決して狭くは感じられず、むしろ壁が奥までずーとつながっている事によって、
細長い家ならではのダイナミックな空間になっているように思います。