その一、小さいとか、コンパクトにすることがそこまで嫌いではないということ。
ただ大きければいいとか、収納はただ広ければいいとかが前提であると小さい家の計画は成り立ちません。コンパクトな車が好きだとか、軽自動車もいいなと感じたり小さな雑貨屋が好きだったり、ちょっと狭い空間も悪くないと感じている人の方が、小さな家は合っているのかも知れません。多少かわいさも感じられる全体を見渡すことのできる楽しさが、小さい家にはあります。そんな感覚を共有できる人は受け入れやすいと思います。
ただ最初からこういうことを考えたことも無かった人も僕らと計画を進めていって、小さな家に住んでいます。まず小さいことが嫌いではないことは重要ですね。

その二、小さいことの価値を考える
小さいことで批判を受けないものがあります。
日本の茶室は広くは無い素朴な空間で、空調も無い部屋です。
そこでは季節を感じ、人との関係性を楽しんでいると思います。茶室において、狭い、暑い、寒いといった批判は無意味なものになります。ミニクーパーにおいても狭いといった批判は多分無意味でしょう。その狭さを楽しんでいると考えたほうがいいのかもしれません。レゴブロックだってシルバニアファミリーだって小さいことで批判は受けない。住宅も考える基準の物差しを変えて小さいことの楽しさを考えて見ましょう。
その三、ライフスタイルの確認
ちょうど僕たちが過ごしてきた年代は、団地の出現、ハウスメーカーの進出等がありました。一昔前の家族の気配を確認しながら過ごすような障子一枚を隔てる生活思想に反対意見を出すように、個室の充実による何LDKで共通認識を植えつけるまで画一的なプランを作り続けました。個室の充実が今の僕らにとって良かったか悪かったかはそれぞれですが、近頃の家作りは一昔前の個々の気配を感じながら生活するスタイルに若干戻りつつあります。
ただ昔に戻るというのではなく、もう少し家族と過ごす時間、空間を漠然と求められている感じです。
個室よりもLDKの充実や、家の一体感を求める吹き抜けが出現してきています。
そのような考えを持っている方には、家をワンルーム化しやすい「小さい家」は受け入れやすいものになるのではないでしょうか。

その四、小さい家は、生活することに対して改めていろいろ考えるきっかけとなる。
画一化された、あらかじめ一般解で提案された建売住宅等にて提供された住宅は食堂の定食と同じで、そこまで考えこまなくても生活が可能なようになっています。
一から考えてゆく住宅は、改めて自分の生活について考えさせられることが多かれ少なかれ出てきます。
小さい住宅では、さらに考える量が増えるでしょうが、日々の生活を考えるよい機会ともいえます。
例えば、大人数での来訪はそうあることではないので、外で食事をするなり、気心知れていればがんばって入ってもらえばいいくらいの感覚。無理に家に泊めないで近くのホテルを紹介したり、親しければLDKをちょっと仕切って泊まってもらう感覚。特に都市では自分の家で全てを完結しなくてもいいという感覚があってもいいと思いますよ。
その五、車の台数の確認

何回もあちこちで聞かれているかと思いますが、建物の概要を決める前に車の状況を確認しておくことはとても重要です。
ただ車の台数を決めるだけではなくて、その駐車する車がどのような大きさの車を想定するか、将来的に何台になるのか、駐車方法は縦列駐車でもいいのか、等々車だけでも特に狭小の敷地を探されている場合は聞く内容が増えていきます。
その六、収納の確認

人それぞれ収納量の感覚は違うものです。収納のことについてよく考えないと漠然と、とりあえず押し込む「納戸」といったひとつの個室が必要になってきます。
小さい家では「納戸」といった個室スペースができない場合も多いです。そこで収納するものはどんなものか、大きさ、たまったものは将来的に処分するのか、また趣味としての収納の確保の仕方などこと細かく、予想できるまで考えて行きます。 具体的には、玄関の靴の量の制限。日々使う靴は近くに置いたり、あまり使わない靴は玄関からは離れた別の場所に置くといったことでも玄関周りの大きさが決まっていきます。
服の収納は、現在どれくらいの大きさの収納に収まっているか、またその量の中で現実的に日々使っているのはどれだけかによってあまり使わないものは奥に入れられるといった事でも収納の作り方が変わっていきプランがまとまりやすくなっていきます。
その七、玄関の大きさの確認

奈良の土間
玄関はお客さんが一番見るところということで、玄関は大きくするとか、豪華にするようなことを言われることもありますが、玄関は用途としては出入りだけの場所です。家に入りさえすれば使わないのです。ここは発想の転換。極力小さくしたいと考えています。
玄関が必要かどうか、1階の各部屋から入っていくのもいいのではとも考えています。例えば1階にリビングなどある場合は玄関ドアが無く、テラス窓から入っていくのもシンプルでいいと思いますが、現実には僕らの事務所ではやっていません。奈良で土間を作り、そこに薪ストーブと階段があり、玄関でもある住宅を建てさせていただきましたが、玄関という限定された用途が曖昧になっていったひとつの形であると思います。
その八、廊下部分の確認

移動のみの用途である廊下が増えていくと各部屋の面積が減ってしまいます。そこで平面プランを計画して行くときに動線を確認しながら廊下を少なくしていきます。
基本的にはLDKへの廊下は無くなってゆき、LDKから他の部屋へのアプローチになって行きます。この廊下部分を少なくすることから、小さい家では家全体がワンルームのようになって行くことが多いのです。ワンルーム的な住宅を望まれる方は、小さい家が適しているのではないかと思いますよ。
その九、和室の確認

僕らが子供の頃は、住宅の部屋の床は畳であることが多かったのですが、それに反して、畳に対する印象があまり良くないひとが多いのではないでしょうか。
それは、現代の生活スタイルには合わない、日々の生活に必要な床の手入れのしやすさ、椅子、ソファーの生活による相性の悪さなども原因でしょう。
実際、ヒアリングしていても多くの方は、日々の生活に対しては畳の床は必要ではないと考えています。
しかし、日々の生活から少し離れた感覚で畳の部屋が欲しいと思う人はいます。
畳の部屋がいるのかどうかの選択は小さい家の重要なポイントの一つです。
ひとつの和室とはいわずとも、フローリングの床に一部畳敷きの部分があるのもひとつ。小さな3帖ほどの小部屋を作ることもあります。
僕たちも何平方メートルというより何帖といったほうが大きさが想像できてしまうくらい染み込んだ日本の文化が畳にはあります。本当に自分の生活に実用的か精神的かは別として必要なのか、大きさはどれくらい必要か考えてみてください。
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